勉強する事は良い事ですね!最近、楽天メディカルが新しい抗がん剤を販売したの知っているかな?
楽天!?あの楽天が医療業界に参入してきたんですか?
そうそう!楽天から新しい抗がん剤「アキャルックス」が販売される事になって、ついに薬価収載されたんだ。
今回はこのアキャルックスについて勉強してみよう!
ついに…ついに…あの楽天が…筆者も日頃から大変お世話になっている楽天から医療用医薬品が販売される事になりました。
薬品名は「アキャルックス点滴静注250mg」
2020年11月11日、第468回厚生労働省中央社会保険医療協議会(中医協)総会にて薬価収載が了承されました。
今回は話題の抗がん剤「アキャルックス」についてまとめてみました。
contents
アキャルックス点滴静注250mgとは?
販売名 | アキャルックス®点滴静注250mg |
成分・含量(1 バイアル中) | セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え) |
薬価 | 102万6825円(250mg50ml/瓶) |
規制区分 | 生物由来製品、劇薬、処方箋医薬品 |
名称の由来 | 患者に希望の光「アカリ(明かり)」をもたらすという願いと、 光の強さの単位である「ルクス」を組み合わせた造語 でアキャルックス®と命名した。 |
剤形 | 注射剤(バイアル) |
pH | 7.1±0.5 |
外観 | 緑~青色の液である。 緑色~青色のタンパク質性粒子状物質をわずかに認めることがある。 |
貯法 | 2~8℃で保存 |
アキャルックス点滴静注(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え))は、キメラ型抗ヒト上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor:EGFR)モ ノクローナル抗体(IgG1)であるセツキシマブと光感受性物質である色素IR700を結合させた抗体-光感受性物質複合体です。
頭頸部癌における本治療はアキャルックスと医療機器のBioBladeレーザシステムとを併用する新しい局所治療との事でイルミノックス™プラットフォームを基に開発された初の医薬品なんです。
横文字が多すぎて意味プーですよね笑
私も書いていて良く分かっていないので一つずつ説明していきましょう。
イルミノックス™プラットフォームとは?
イルミノックス™プラットフォームとは何なんでしょう?
ネットで調べてみました。
イルミノックス™プラットフォームとは、薬剤と光を組み合わせた、がんをはじめとした様々な疾患に対する新しい治療法を開発するための技術基盤です。この技術は、米国国立がん研究所の小林久隆先生らが開発したがん光免疫療法が基になっています。
このイルミノックス™プラットフォームは、医薬品、医療機器、医療技術、その他周辺技術を総合的に利用した技術基盤です。この技術基盤を用いた治療は、(1)薬剤の投与、(2)光の照射、の2段階で構成されます。
(1)薬剤は、“光感受性物質(光に反応する物質)”と“標的認識物質(細胞の標的に結合する物質)” の2つからなる複合体です。この薬剤を光照射の前に投与します。
(2)標的に結合した薬剤の光感受性物質に、特定の波長の光を照射すると、光感受性物質が活性化し、生物・物理学的プロセスにより、標的細胞を壊死させることができます。
*イルミノックス™プラットフォームは、医薬品、医療機器、医療技術、その他周辺技術を総合したもので、特定の医薬品や医療機器を指す呼称ではありません。
Rakuten Medicalホームページより抜粋
イルミノックス™プラットフォームは世の中に出始めたばかりの新しい治療概念のようです。
今後はこの治療方法がメインストリームになる日も近いかも!?
アキャルックス点滴静注250mgの作用機序は?
まずは作用機序から
セツキシマブサロタロカンナトリウムは、キメラ型抗ヒト上 皮成長因子受容体(EGFR)モノクローナル抗体(IgG1)であるセツキシマブと光感受性物質である色素IR700を結合させた抗体薬物複合体である。
セツキシマブ サロタロカンナトリウムは腫瘍細胞の細胞膜上に発現するEGFRに結合し波長690 nm のレーザ光照射により励起されたIR700が光化学反応を起こし腫 瘍細胞の細胞膜を傷害することにより殺細胞効果を示すと考えられる。しかし詳細な作用機序は解明されていない。
アキャルックス®点滴静注250mg 添付文書より抜粋
ところでセツキシマブって皆さんどこかで聞いた事ありませんか?
特に病院薬剤師の方や病院で働いている方は馴染みのある薬品「アービタックス注射液」です。
アキャルックスはアービタックスに光感受性物質である色素IR700を結合させた抗体薬物複合体であり、全く新しい成分の薬品ではないんです。
作用機序に関しては分かりやすい模式図がインタビューフォームに記載されていましたのでこちらをご参照下さい。
この図からも分かる通り、アキャルックス単独では治療できません。
アキャルックス投与後にRakuten Medicalより発売されているBioBladeレーザシステムを用いる事で初めて効果が出ます。
ちなみにこのような医療機器らしいです。
アキャルックス点滴静注250mgの適応症は?
アキャルックスの適応は現段階では「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」のみとなっています。
今後はアービタックスのように「RAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」にも適応が追加になるかもしれません。
アキャルックス点滴静注250mgの用法・用量は?
用法・用量はどうでしょうか?
通常、成人にはセツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え)として、1日1回 640mg/m2(体表面積)を2時間以上かけて点滴静注する。点滴静注終了20~28時間後にレーザ光を病巣部位に照射する。
アキャルックス®点滴静注250mg 添付文書より抜粋
1日1回 640mg/m2(体表面積)なので、例えば体表面積が1.7の方に使用する場合…
1.7×640=1088mg投与する事になります。
アキャルックスの薬価は102万6825円(250mg50ml/瓶)なので、この方でしたら1回に4.3瓶使用するので1回に5瓶購入しなくてはいけませんので、費用は約514万円程かかります。
た・高すぎるぅー!笑
これだけ高額医療ですと気軽に使用はできなさそうですね…
アキャルックス点滴静注250mgは何回まで使用できる?
アキャルックスに何回まで使用できるのか?
薬剤師としてレジメンチェックする際には重要なポイント。
こちらは添付文書に記載してありました。
完全奏効が得られない場合には、4週間以上の間隔を空けて、最大4回まで本剤を点滴静注及びレーザ光を病巣部位に照射することができる
アキャルックス®点滴静注250mg 添付文書より抜粋
ポイントは投与間隔が4週間以上、投与回数は4回まで。
こちらは覚えておきましょう!
アキャルックス点滴静注250mgの注意事項は?
どんな薬でも注意事項はあります。
1つずつ確認していきましょー!
用法及び用量に関連する注意
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、有効性及び安全性は確立していない。
完全奏効が得られない場合には、4週間以上の間隔を空けて、最大4回まで本剤を点滴静注及びレーザ光を病巣部位に照射することができる。
本剤投与時にあらわれることがあるinfusion reactionを軽減させるため、本剤投与前に抗ヒスタミン剤及び副腎皮質ホルモン剤の前投薬を行うこと。
本剤とともに癌を標的として使用することを目的として承認されたPDT半導体レーザを使用しレーザ光照射を行うこと。なお、レーザ光照射の条件等については、当該医療機器の添付文書を参照すること。
アキャルックス®点滴静注250mg 添付文書より抜粋
アキャルックスは現時点では他の抗がん剤との併用は認められていません。
その他、infusion reactionには注意が必要、こちらはアービタックス点滴静注でも同様ですね。
アービタックス同様の前投薬であれば、抗ヒスタミン薬はレスタミン錠、副腎皮質ホルモン剤はデキサート注で投与で良い?(現在適正使用ガイドラインがホームページで見れないため、今後要確認です)
重要な基本的注意
頸動脈出血、腫瘍出血があらわれることがあるので、本剤投与前に頸動脈・静脈等への腫瘍浸潤の有無を十分確認するとともに、本剤による治療中は患者の状態の観察や頸動脈出血、腫瘍出血の有無の確認を十分に行うこと。
光線過敏症を起こすことがあるので、本剤投与後 7 日目以降に腕の一部に対して直射日光等を照射し、皮膚反応の消失が確認できるまでの間、又は本剤投与後4週間は直射日光を避けるよう指導すること。
infusion reactionがあらわれることがあるので、本剤の投与は 重度のinfusion reactionに備えて緊急時に十分な対応のできる準備を行った上で開始すること。
本剤の使用にあたっては、本剤と一般名が類似しているセツキシマブとの取り違えに注意すること。
アキャルックス®点滴静注250mg 添付文書より抜粋
投与中に腫瘍患部の出血には注意が必要であり、もし、服薬指導等で出血傾向を確認したら一度主治医に投与の可否を確認する必要がありそうです。
光線過敏症については十分に患者に説明し、対策も説明してあげるとgood!
紫外線が強い10~14時の外出を避ける。
長袖、帽子(全体に約7cm以上のつばがあるもの)、手袋などで物理的に光りを遮るとともに、露出している顔面、頸部、手背には日焼け止め(サンスクリーン剤)などで防御する。
サンスクリーン剤はSPF50以上(UV-B防御に有効。数値が高いほど効果大)、PA3+以上(UV-A防御に有効。+が多いほど効果大)を使用。
サングラスはUVカット効果のあるものを使用しましょう。
アキャルックス投与後、4週間は直射日光を避けるよう指導も合わせて行いましょう。
その他、アキャルックスとアービタックスは成分名がセツキシマブで始まるので、Drには注意喚起が必要かもしれませんね。
特定の背景を有する患者に関する注意
合併症・既往歴等のある患者
頸動脈・静脈等への腫瘍浸潤が認められる患者頸動脈への腫瘍浸潤が認められる患者には投与しないこと。頸 静脈等への腫瘍浸潤のある患者には、本剤の有効性及び危険性 を十分に考慮した上で、本剤による治療の可否を慎重に判断すること。腫瘍縮小・壊死に伴う頸動脈出血、腫瘍出血があらわれることがある。
生殖能を有する者
妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は、適切な避妊を行うよう指導すること。
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を構成するセツキシマブを用いた動物実験(サル)において、 流産及び胎児死亡の発現頻度の上昇が報告されている。授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒトでの乳汁移行に関するデータはないが、ヒトIgGは乳汁中に移行するので、本剤も移行する可能性がある。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
アキャルックス®点滴静注250mg 添付文書より抜粋
妊婦・授乳婦に投与するケースは余り無いかと思いますが、もし遭遇した場合は情報提供する必要はありますね。
アキャルックス点滴静注250mgの併用注意は?
こちらは現時点では添付文書に記載されていません。
アキャルックス点滴静注250mgの併用禁忌は?
こちらは現時点では添付文書に記載されていません。
アキャルックス点滴静注250mgを調整する際の注意事項は?
病棟で看護師さんから一番聞かれるのは投与する方法です。
注意点を理解していれば、看護師さんからの質問も怖くない!
薬剤調製時の注意
本剤は希釈して使用しないこと。
他の薬剤との混注はしないこと。
本剤は光に不安定なので、直接照明、直接昼光、あるいは間接昼光を避けて調製すること。薬剤投与時の注意
本剤は光に不安定なので、点滴静注バッグ、インラインフィルター、チューブ等は、常に遮光カバーで被覆するとともに、 本剤の投与を行う部屋の窓はカーテンやブラインド等で覆うこと。
0.2又は0.22μmのインラインフィルターを使用すること。
アキャルックス®点滴静注250mg 添付文書より抜粋
重要なポイントとしては遮光する事、添付文書は本剤の投与を行う場合は部屋の窓はカーテン等で覆う事とされています。
ここまで遮光に注意な薬は加齢性黄斑変性症に使用するビスダイン静注用を思い出しますね。
その他に点滴静注バッグ、インラインフィルター、チューブも遮光が必要なので、調整した際には遮光バック等の準備も必要です。
あとは希釈せずに投与と記載されているので、決して希釈しないように!(とても高い薬剤なので笑)
アキャルックス点滴静注250mgの副作用は?
副作用は患者さんに説明する上では理解しておかなくてはいけません。
まずは重大な副作用から。
重大な副作用
頸動脈出血(頻度不明)、腫瘍出血(5.6%)
舌腫脹(13.9%)、喉頭浮腫(5.6%)
嚥下障害、呼吸困難等を伴うことがあるので注意すること。Infusion reaction(2.8%)
重度のinfusion reactionがあらわれた場合には、本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで 患者の状態を十分に観察すること。
前投薬しても必ずinfusion reactionが起きないとは限らないので、特に投与直後には患者さんの状態に注意しましょう。
20%以上 | 10~20%未満 | 10%未満 | |
一般・全身障害および投与部位の状態 | 適用部位疼痛 | 顔面浮腫、疲労、適用部位浮腫、顔面痛、限局性浮腫、末梢性浮腫 | 腫脹、発熱 |
胃腸障害 | 嚥下障害 | 口内炎、嚥下痛、舌潰瘍、口腔内痛 | |
皮膚および皮下組織障害 | 紅斑、発疹 | 光線過敏性反応、ざ瘡様皮膚炎、皮膚乾燥、 皮膚潰瘍、斑状丘疹状皮疹 | |
血液およびリンパ系障害 | 貧血 | ||
呼吸器、胸郭および縦隔障害 | 口腔咽頭痛 | 咳嗽、発声障害 | |
その他 | 腫瘍疼痛 | 頸部痛、脱 水、体重減少、 ALT(GPT) 増加、着色尿 |
発現頻度では適用部位の疼痛が一番多いですが、個人的には皮膚障害が気になる(アービタックスでは皮膚障害が結構多い)のと、ここには記載がありませんが低Mg血症の存在です。
インタビューフォームには国内I相試験と海外第I/IIa相試験で報告された副作用として低Mg血症は1例のみとの事。
しかし、アービタックスやベクティビックスのような抗EGFR製剤では低Mg血症に注意が必要である事は周知の事実。
低マグネシウム血症|副作用対策講座|消化器癌治療の広場 GI cancer-net
予防・対症療法 抗EGFR抗体による低Mg血症の予防方法は確立されていない。低Mg血症はgrade 1〜2では臨床症状はほとんどなく、grade 3以上になって初めて自覚症状を伴うことが多い。そのため抗EGFR抗体による治療中は、定期的に血清中電解質のモニタリングを行い、低Mg血症が重篤化する前に対策を行うことが重要である (図2) …
アキャルックス自体投与している患者さんの報告が少ないので、潜在するリスクとしては十分考えられるので個人的にはMgのモニタリングは必要かなと。
皮膚障害についてもアービタックスやベクティビックスを投与している患者さんでは結構な頻度で認められているので注意が必要かと。
こちらのサイトは注意点や対策等が分かりやすく記載されているのでオススメです。
皮膚障害-1 分子標的薬の皮膚障害|副作用対策講座|消化器癌治療の広場 GI cancer-net
皮膚障害は抗EGFR抗体薬投与時に高頻度で発現するため、予防は欠かせない。米国で実施された STEPP試験 3) では、Panitumumabの投与前日から予防的治療 (保湿剤・日焼け止め・ステロイド外用薬塗布およびドキシサイクリン内服) を行った群では、皮膚障害の発現後に治療を行った群に比べてGrade 2以上の皮膚障害の発現頻度が低下したと報告されている。 …
まとめ
Rakuten Medicalより発売された初めての医療用薬品である世界初のがん光免疫療法の抗体薬物複合体「アキャルックス」の特徴は分かりましたか?
基本的にはアービタックスの注意点+遮光に注意する事が大事かと思われます。
まだまだ新しい治療概念ですので、世の中には浸透していませんが、この治療が少しでも闘病している方々の光になれば良いと、いち薬剤師として応援しております。
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最近新しい抗がん剤も沢山出てきて、薬剤師としてもっと勉強しなきゃ!と思うな。