漢方薬は比較的安全に使用できる薬ですが・・・
どんな薬にでも当然副作用は存在します。
つまり薬は毒にもなり得る訳ですね。
日本東洋医学会が行ったアンケートでこんな結果が出たそうです。
胃腸障害 | 50.8% | めまい | 1.4% |
発疹 | 19.6% | のぼせ | 1.2% |
浮腫 | 6% | 血圧 | 1.2% |
薬疹 | 3.7% | 頭痛 | 1% |
かゆみ | 1.4% | 附子中毒 | 0.9% |
低カリウム血症 | 1.4% | 動悸 | 0.9% |
この副作用はある程度どの生薬が原因か分かっているそうで
生薬 | 副作用 | 頻度 |
大黄、芒硝、地黄、 当帰、石膏等 | 胃腸障害 | 50.8% |
桂皮、当帰、黄苓 | 発疹、薬疹等 | 24.7% |
甘草 | グリチルリチン酸 | 8.6% |
附子 | アコニチン | 6.6% |
麻黄 | エフェドリン | 5.7% |
こう見ると意外と副作用は出やすいんだなと改めて勉強になります。
その中でも気を付けなければならない生薬があります。
それは甘草(かんぞう)
漢方薬のおよそ7割に含有されていると言われています。
思わぬ所で重複して服用して副作用が出るというのもある訳です。
ショ糖のおよそ150倍の甘味を有するといわれているグリチルリチン酸を多く含み,文字どおりの「甘い草」カンゾウは,洋の東西を問わず,紀元前から薬として用いられている.また,醤油や菓子,煙草などの甘味料としても大量に消費されている.
https://www.nikkankyo.org/seihin/shouyaku/03.htm
甘草は甘味料として利用されていました。
太らない甘味として健康食品やお菓子に使用されている甘草の主成分はグリチルリチン酸です。
グリチルリチン酸と言えば肝庇護剤のグリチロンや強力ネオミノファーゲンシーが薬剤師の先生方には馴染みがあるでしょうか。
甘草を内服する事により偽アルドステロン症になる事があるので注意が必要です。
アルドステロン症には原発、特発性、偽性があります。
偽性の場合はアルドステロン値が正常値にも関わらず、高血圧や浮腫、カリウム低値になります。
具体的な症状として
手足のだるさ、しびれ、つっぱり感、こわばり、力が抜ける感じ、こむら返り、筋肉痛等です
発現頻度としておおよそではありますが下記のようなデータもあります。
- 3か月以内に発症した症例が約40%
- 男女比は男性:女性=1:2
- 年齢は50~80歳代が全体の80%
- 低体重、低身長など体表面積が小さいお年寄りに起こりやすい
要するに生理機能が落ちている高齢者には特に注意が必要との事です。
甘草が含まれている有名な漢方薬と言えば芍薬甘草湯。
効果発現も早く良い薬ですが、偽アルドステロン症には注意が必要ですね。
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