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ゾフルーザ錠とは?
ゾフルーザ錠(一般名:バロキサビルマルボキシル)は2018年3月14日に販売開始された比較的新しい抗インフルエンザ治療薬であり、A型・B型インフルエンザ治療薬です。
特徴としては1回経口で服用するだけで治療が完了する事。
タミフルであれば5日間服用しなくちゃいけないし、イナビルやリレンザと違い吸入する手間が無いので指導する薬剤師の手間もかからないですよね。
ゾフルーザはメリットしかないのでしょうか?
他のインフルエンザ治療薬と何が違う?
インフルエンザ治療薬として名前を良く聞くタミフルカプセルやタミフルドライシロップ(一般名:オセルタミビル)、イナビル(一般名:ラニナミビル)、リレンザ(一般名:ザナミビル)はノイラミニダーゼと呼ばれる酵素を阻害する事でインフルエンザウイルスが他の細胞への感染・増殖を抑制します。
一方ゾフルーザ錠は細胞内でエンドヌクレアーゼを阻害する事で、ウイルスが複製出来なくなる事で増殖を防ぎます。
ゾフルーザ錠を服用するとウイルスが増殖できずに死滅するため1回の内服で症状を抑える効果があるのが特徴です。一般的にノイラミニダーゼ阻害薬と比べて早期に効果が高いとされ注目されています。今までのインフルエンザ治療薬とは違う新しい作用機序を持っている薬剤です。
抗インフルエンザ薬耐性株とは?
抗インフルエンザ薬耐性株とは今までのインフルエンザ治療薬を使用しても効果の無いインフルエンザウイルスの事です。
インフルエンザ治療薬を少量で漫然と使用したりすると、その薬に耐性を持ったインフルエンザウイルスが誕生します。耐性を持ったインフルエンザウイルスが流行すると大変な事になります。
ゾフルーザ錠は販売される以前から耐性株が出やすいんじゃないか?と医療関係者の中では懸念されていました。
実際に去年のインフルエンザウイルスの耐性株のデータを見てみましょう(国立感染症研究所のデータより抜粋)
ゾフルーザはインフルエンザB型では耐性株の報告は無かったもののインフルエンザA型(H1N1)pdm09株では2.3%の耐性株(うち薬剤未投与例3、薬剤投与例6)、インフルエンザA型(H3N2)株では8.0%の耐性株(うち薬剤未投与例5、薬剤投与例29)が報告されています。
タミフルによる耐性株は約1%と比較すると単純に耐性株が多く出そうな事が懸念されますね‥
2019年12月27日現在の情報もホームページに掲載されていたので見てみましょう(国立感染症研究所のデータより抜粋)
今年はゾフルーザの耐性株の報告はありません、去年と異なるのはインフルエンザA型(H1N1)pdm09株でタミフルやラピアクタ(一般名:ペラミビル)に耐性を持っているのが既に2.3%(うち薬剤未投与例6、薬剤投与例4)報告されている事です。
個人的に気になるのは薬剤未投与例ですでに耐性を示している株が存在する事。
細菌は抗菌薬に淘汰され進化を続け、人は新たな抗菌薬を開発し戦ってきました、ウイルスとて同じ事を考えているはずです。
インフルエンザウイルスも生き延びるために必死です。既存の薬に負けないように進化を続けるはずです。
ゾフルーザ錠が簡便で処方しやすいのは重々理解していますが、タミフルやリレンザ等の抗インフルエンザ薬が使える間はゾフルーザは出来るだけ温存した方が良いと個人的には良いと思います。
ゾフルーザは異常行動の報告はある?
近年タミフル内服での異常行動がテレビで報告されて、タミフルはヤバイ薬じゃないの?と思われていると思います。
ゾフルーザは異常行動起きない?そう思っている方もいらっしゃると思います。
ゾフルーザでも異常行動は報告されています。
ゾフルーザの臨床試験では異常行動の副作用は報告されていなかったですが、市販直後調査(6ヶ月)において異常行動の症例が6例(9歳以下:4例、10歳以上:2例)報告されています。
その他製造販売後調査(最終報告)においても異常行動は13例(いずれも12歳未満)で報告されています。
異常行動はインフルエンザ治療薬の有無に関わらず報告されているので、インフルエンザに罹患した場合は異常行動に十分注意する必要があります。
インフルエンザ治療薬の価格比較
リレンザ | タミフル | ラピアクタ | イナビル | ゾフルーザ | |
一般名 | ザナミビル | オセルタミビル | ペラミビル | ラニナミビル | バロキサビル |
作用機序 | ノイラミニダーゼ阻害 | ノイラミニダーゼ阻害 | ノイラミニダーゼ阻害 | ノイラミニダーゼ阻害 | Capエンドヌクレアーゼ阻害 |
投与経路 | 吸入 | 経口 | 点滴 | 吸入 | 経口 |
用法用量 | 1日2回 5日間 | 1日2回 5日間 | 1回 | 1回 | 1回 |
1治療あたり薬価 | 2942円 | 2720円 | 6216円 | 4279.8円 | 4789円 |
ラピアクタのみ点滴で薬価は高価ですが、こちらのお薬は高齢者等で経口投与も吸入も出来ない患者さんに使用します。注意点としては腎機能に応じて減量が必要なので投与前に腎機能は要確認です。
リレンザ、タミフルは5日間使用するのでコンプライアンスが非常に重要になります。インフルエンザ症状が無くなり途中で服薬を中断してしまうと耐性株を産む原因にもなりえるので、服薬指導する場合は5日間しっかり飲み切る様指導するのが重要。
ゾフルーザの価格は体重80kg未満で計算していますが、80kgを超えると20mgの錠剤を4錠内服になるので9578円になるので注意が必要です。
お値段が高いのが気になるようであればタミフルやイナビルに変更をお願いすると良いでしょう。
予防投与はどの薬でもできる?
今のところラピアクタとゾフルーザには予防投与の適応がありません(ゾフルーザは適応拡大で予防投与の申請はしている様子だが2019/2020の流行期には間に合わなそう‥)
まとめ
ゾフルーザは1回服用するだけで治療が完了するのが一番の魅力だと思います。
体重に応じて薬価が大きく変わるのはネック、お金をケチって少量投与するのだけは耐性株の影響もあるので止めて頂きたい。
むしろインフルエンザ治療薬を服用しても解熱するのが1日ぐらい早くなる程度なので、水分を摂取して良く睡眠して時折解熱剤を頓服するのが一番良いのかもしれません。
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